女たちよ! ガーターベルトで魅せろ!

File No3.女たちよ!いっそオーバドゥ(Aubade)!
“あまい口づけ 遠い思い出 夢のあいだに 浮かべて 泣こうか 忘れたままの恋のささやき 今宵ひととき 探してみようか 恋のうたが 誘いながら流れてくる そっと眠りかけたラジオからの さみしい そして 悲しい いっそやさしい セレナーデ”

俺の大好きな歌手、井上陽水の名曲。“いっそセレナーデ”の一節である。セレナーデ(Serenade)というのは、 小夜曲、夜の調べ、男が恋人の家の窓の下で歌い、気持ちを伝える…そんなロマンティックな情景。一方、Aubadeとは、フランス語で“朝の詩”を意味する。恋人同士の会話で一方が「夜明けが近い、別れよう。」といえば、もう一方は「いやよ。」と答える。そんな切なくも情熱的な意味を持つ、オーバドゥ(Aubade)はさすがだよね。
今回のタイトルの“いっそオーバドゥ(Aubade)”、もちろんこの歌をなぞったものだけど、俺はやっぱりオーバドゥ(Aubade)を推したいね。
1958年、ブランド名「オーバドゥ(Aubade)」はそんなロマンティックな情景から生まれ、恋人や、ラブストーリーをイメージし、美しいランジェリーを創りはじめるんだ。大きく春夏・秋冬の2つに分かれ、毎シーズン10コレクション以上発表される。その時々のファッショントレンドや季節感はもちろん、シーズンを通してひとつのラブストーリーに基づいてデザインが生まれる。常に女性を美しくさせ、恋人たちに火をつける。そんな唯一無二のランジェリーブランド。それだから、ランジェリーは“いっそオーバドゥ(Aubade)”で決まり!
話は戻って、Aubadeはフランス語の「Aube(早朝)」にちなんでいる。俺が女たちに望むものは、朝美しいランジェリーを纏い、鏡の前に立った時、自分に誘惑されること。自分を魅力的だと思えることが大切だ!女性の誰しもが最初は花開く前の蕾のようなものだ!プリンセスになる可能性を秘めているんだ!ヨーロッパの女性たちは、TPOに合わせたランジェリー選びにもこだわりを持っている。そして、朝(Aube)、1日中ハッピーに過ごせるランジェリーを選ぶことが肝心だ。例えばビジネスで大事な商談があるときには、きちんとして洋服のシルエットを活かすブラジャーを。夜のパーティーや、大切な恋人との食事のときはラグジュアリーでセクシーなランジェリーを。スポーツをするときは、伸縮性のあるものやコットン製のアイテムを。休日、家でリラックスして過ごしたい時はノンワイヤーのブラジャーを。そしてクリスマスから年末にかけては赤い魅惑的なランジェリーを着けるのは有名な話。それは幸せを運ぶおまじないとも言えるかもしれないね。
肌に直接触れるランジェリー選びに手を抜かない女性こそがフランスでは魅力的だと考えられている。

朝(Aube)、ランジェリーは自分の肌に最初につける愛おしい存在。
オーバドゥ(Aubade)は女たちを魅力的に魅せてくれる密やかな共犯者。
女たちよ!今こそ女性に生まれた幸福を感じようじゃないか!!

関野芳信

 

女たちよ! ガーターベルトで魅せろ!

File No2.女たちよ!野暮な下着は捨てろ!
故伊丹十三氏の第2作目のエッセイ「女たちよ!」は俺に衝撃を与えた。
その中の一節「スタンダールの恋愛論」の中の興味深い文章が俺をインポートランジェリービジネスへと導いた。

「女たちよ!」このタイトルは今から47年前、1968年に文芸春秋新社より刊行された、故伊丹十三氏のエッセイの題名から拝借した、女性への呼びかけの言葉である。
高校生の頃、伊丹十三氏の処女作「ヨーロッパ退屈日記」に出会って以来、
すっかり伊丹氏の虜になってしまい、それまでアメリカ文化に憧れていた俺は、いつしかヨーロッパ文化に興味を持つようになった。
今思い返すと、人生観まで大きく影響を受けたといえるだろう。今こうして、ランジェリー業界に携わっているのだから。
さて、冒頭でも述べた伊丹氏の原文をぜひ、女たちに読んでもらいたい!

「私はあまり腹を立てない性分だが、あれを見た時には腹が立った。怒り心頭に発した。地下鉄の中で、女学生のセーラー服の胸元からピンクのスリップがのぞいていたのを見てしまったのである。ピンクというより、苺色、いや、ひと頃セクシー・ピンクなどと呼ばれていた、暗い濃厚なピンクである。これは、不潔だ!
逆にまた、かなりお洒落で、しかも相当な魅力を秘めているらしい女性が、白いナイロンのレースもろくろくついていないスリップとパンティに木綿のブラジャーなどというのは、これまたなんとも索漠として興の醒めるものである――なんぞというと、もう口を尖らせている人がいるようだが、あなたは本当に素晴らしい下着というものを見たことないのではないかな?
やはり美人もある年になったらお臍が隠れるような白いナイロンのパンティなんかぞろりと履かないようにしてほしいと思う。フランスのルーという会社のレースの三つ揃いなんて見たことあるかね?薄いグレイと薄いピンクのレースでツー・トーンになった、ビキニ型のパンティとブラジャーとガードルとが揃いになったもので、これは正に夢のように美しい。
銀座あたりにも売っているんだよ。もっとも一揃い一万いくらもするが。
でも、役にも立たぬ花嫁修業や、ろくでもない嫁入道具にかける金があるなら、こういうものを買ってほしいと思うのですね、男は。
さて、下着という見地から「スタンダールの恋愛論」という映画を見ようか。なかなか小憎い下着が出てくるのである。
例えば、エルザ・マルティネリが毛糸で編んだワンピースを脱ぎすてると、真珠色の絹のスリップを着ている。あるいはジョアンナ・シムカスがシャネル・スーツを脱ぐ時には、白いレースの付いた可愛いブラジャーをしているという具合いなのだ。ともあれ、下着というのは贅沢なものであってほしい。洗練されたシィクなものであってほしい。可愛く色気のあるものであってほしい。素敵な下着を着た女性というものは、見違えるほど奥ゆかしく由緒ありげに見えるものなのだ、と私は思うのです。」
(伊丹十三(1968).女たちよ!株式会社 新潮社)

どうだろうか?47年前、これほど挑発的でちょっとキザで、でも女性に対する憧れと期待を込めたメッセージがあっただろうか。
偽物を嫌う本物志向は長い年月を経た今でも新鮮で、本質を捉えていると俺は思う。
美しく生きることに積極的で活動的な女性は、とても魅力的で輝いているんだ。
Aubade(オーバドゥ)を愛用する女性は自分の中で何がしたいのか、何が必要なのかを十分わかっている、そんなスタイルを確立した大人の女性だ。
(精神的にも経済的にも自立した洗練された女性だね。)
官能的なランジェリーを身に付けることで自分自身もそれに見合うような女性になりたい、と内面も外面も磨く努力をするようになる。
Aubade(オーバドゥ)を身につけるということは、前から後ろから横から、どこから見ても誘惑を感じさせることができる現代女性の戦闘着なんだ。
今こそ、惰性で着るような野暮な下着は脱ぎ捨てて、自らを奮い立たせるランジェリーを纏おう。

他人の目に触れることのないランジェリーにこだわること、それは君が美しくいられるために本当に大切なことだよ。

関野芳信

 

女たちよ! ガーターベルトで魅せろ!

File No.1 女たちよ!ガーターベルトに目覚めよ!

女性として生まれて、一度もガーターベルトを着けることなく一生を終える女性が何人と多いことか・・・俺はこの事実が悲しくて残念で許せない。

ガーターベルトというと、勝負下着、セクシーランジェリーというイメージがとても強いよね。
一般的にガーターベルトの必要性は高くないのが現実。
本来、ガーターベルトはレトロなファッションを楽しみたいとか、結婚式に臨む場合に正装の一部として身につけるとか、セクシーな雰囲気を醸し出したいといったコスプレのため、非日常的なシーンで着用されることが多いんだよね。

しかし実際にはずっと実用的で意外な効果がいっぱいある。ガーターベルトを着けているという緊張感が歩き方や筋肉の使い方まで変えるから背筋が伸びて姿勢が良くなる。

ガーターベルトでつっているという感覚が普段よりも足を細く、そしてセクシーに魅せる効果が期待できるわけ。

特に夏場はパンティストッキングだと、締め付けられて蒸れたりするようだけどストッキングを履いてガーターベルトで吊るとすごく風通しがよく涼しくて快適らしい。
ワンピースや、スカートファッションをエレガントに装いたいときにはガーターベルトとストッキングはマストアイテム。

そもそもフランスでは、ガーターベルトに限らず下着(ランジェリー)を女であるための道具としてとらえている。幼少のころから母親に必要性をいやっていうほど説かれて、最も大切なツールとしての認識が根付いているんだよね。

男性も妻やパートナーに下着(ランジェリー)を贈ることが日常的(日本ではまだまだ定着していないのが非常に残念)。これもあって、Aubade(オーバドゥ)は“男性のための下着(ランジェリー)”という素晴らしいイメージが息づいているんだ。

これは下着の機能性だけに捉われることなく、楽しみ、喜びを味わうということ。そして、この喜びを女性だけでなく男性にもその魅力を分け与えることで、カップルに楽しんでもらいたい。

パリの恋する女性を虜にして、恋を成功させる必須アイテムとして愛され続けている理由もそんなAubade(オーバドゥ)のイメージが女たちの恋の味方をしているからなんだと俺は思う!

関野芳信